非常用発電機を設置するにあたって、ハードルの一つとなるのが導入コスト。
そのコストを下げるために活用したいのが、非常用発電機等(災害バルク)の導入に使える補助金です。
2023年5月31日より、令和5年度の補正予算としての補助金公募がスタートしました。
そこで、2013年から開始された通算約800件以上の補助金申請に携わる岩谷産業が、今回の補助金の内容やポイントを解説します。
<目次>
・令和5年度補正予算として発表された補助金の概要
・申請前に知っておきたい!今年度から新設された条件とは?
・補助金先生のPOINT3選!
補助金申請のPOINT➀:申請期間のここに注意!
補助金申請のPOINT➁:どんな施設が対象?
補助金申請のPOINT③:補助金でいくら補える?
・最後に…
【補助金名称】
略称:災害用バルク等補助金
経済産業省 資源エネルギー庁
【補助金窓口団体】
LPガス振興センター
【期間】
令和5年5月31日(水)~令和5年6月30日(金)24時まで
【補助金の目的】
大規模な災害等が発生した時に、系統電力、都市ガスや水道の供給が途絶した場合でも、避難困難者が多数生じる医療施設や福祉施設、公的避難所及び一時避難所となり得る施設等はライフラインの機能を維持することが求められます。自衛的な燃料備蓄のためにLPガス災害バルク等の設置に要する経費の一部を補助することにより、災害発生時においても、これらの施設等に対するLP ガスの安定供給の確保を図り、その機能を3日間以上維持させることを目的としています。
【対象施設】
公共施設/福祉施設/医療施設 ※入居・入院設備があることが条件(避難困難者がいること)
公的避難所/一時避難所となり得る施設
【補助対象設備】
①LPガス災害バルク貯槽またはシリンダー容器
(但し、シリンダー容器の購入は補助対象となるが、必須ではない。)
②LPガス発電機(コージェネレーション含む)
③GHP(※停電時に稼働することが条件)
④燃焼機器(コンロ、炊飯器、炊き出しセット、コージェネレーション、給湯器(ボイラー含む)、ガスストーブ、ファンヒーター)
⑤簡易スダンドユニット
【補助率】
2分の1 ※ただし中小企業が運営する福祉施設・医療施設のみ 3分の2
【補助上限金額】
1000万円又は、3000万円又は 5000万円 ※条件により異なる
昨年に引き続き、補正予算として公募がスタートした本補助金ですが、昨年度から新たに加えられた条件などがあります。
まずは新たに加えられた条件をご説明します。
第1優先順位 |
a 公的避難所 |
第2優先順位 |
a. 官公需適格組合からLPガスを供給(購入)する施設 b. aに該当しないもの |
第3優先順位 |
施設の機能維持に必要な燃料の保有日数が多い施設 |
第4優先順位 |
賃金引上げ表明証明書を提出した事業者 (共同申請者がいる場合は2社とも提出が必要) |
第5優先順位 |
「パートナーシップ構築宣言」を実施・登録した事業者 (共同申請者がいる場合は2社とも提出が必要) |
新たな条件➁:補助対象設備
これまで具体的な記載はありませんでしたが、今年度から、LPガス燃焼機器のうち、コージェネレーション、ボイラー、給湯器は本体機器のみ補助対象となります。給水・給湯用配管は補助対象外となりますので、ご注意ください。
また補助の対象として購入する容器や機器、設備はすべて新品で未使用のものに限ります。そうでなければ対象外となり、補助金がおりません。
新たな条件③:ガス栓ボックスは既設や新規購入するLPガス消費設備であること
これまでは配管の末端にガス栓を10個以上設け、当該ガス栓を屋外設置に耐える構造のガス栓収納ボックス(防滴型)で保護することが条件でした。
今年度から新たに追加された条件として、ガス栓ボックスを設置する場合は、既設や新規購入するLPガス消費設備(災害時に接続でき、使用する機器)があることが補助対象の条件となります。
新たな条件③:ガス栓ボックスは既設や新規購入するLPガス消費設備であること
昨年度まで、マイコンメーターは補助対象でした。ですが、本補助金の申請にあたって、今年度からはガス栓ボックスは専用のマイコンメーターのみ補助対象となります。そのため、常時使用のマイコンメーターは補助対象外となります。
申請における注意事項
以前まで、交付決定から実績報告までに提出することが求められていましたが、今回の補助金では、災害時における避難所の運用計画を申請時および実績報告時に提出する必要があります。
<補助金申請のPOINT➀> 申請期間のここに要注意! |
第1回の公募期間は5月31日~6月30日と期日が定められています。しかし、期間内であっても予算が上限に達すると公募は締め切られるため注意が必要です。予算が超過した場合の採択は、採択の優先順位が設けられています。優先順位は以下の通りです。
<補助金申請のPOINT➁> どんな施設が対象に? |
この補助金の対象とされているのは、公共施設、一時避難所、医療施設、社会福祉施設です。公共施設とは、公立の学校や役所などのことを指し、一時避難所とは、当補助金を活用したことにある避難所であること。医療施設、福祉施設においては、入院施設のある病院、入居者のいる福祉施設とされています。病床数や入居者数は問われませんので、規模の大小を気に掛ける必要はありません。その他に、0歳児保育のある保育所も補助金の対象となります。
なお、詳しくは令和5年度の補助金情報をご確認ください。
<補助金申請のPOINT③> 補助金でどこまで補える? |
補助金の対象設備としては、災害用バルクや非常用発電機をはじめ、GHP(ガス・ヒートポンプ)の空調、LPガス式の給湯や冷暖房をおこなう設備(ボイラー給湯器、吸収式冷温水機など)も対象となります。
いずれも、非常時に稼働し、3日間の水と電気を確保することが条件です。災害時に必要となる炊き出し機器や鋳物コンロなども、補助金の対象。補助金の上限金額は、設置する設備の内容によって異なります。
非常用発電機のみ(ガス設備+発電機)の場合は上限3000万円。非常用発電機に加えて、GHPの冷暖房などの大型設備を導入する場合は上限5000万円となります。