令和6年の3月から義務化されるBCP策定がもう間もなく始まりますね。
停電対策を考え始めた時、検討の土台に上がる2つの設備。それが、太陽光発電と非常用発電機です。
この2つを停電対策として比較する際、どのようなポイントに気を付ければよいのでしょうか。
今回は、5つのポイントに焦点を当て、太陽光発電と非常用発電機、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら解説します。
<目次>
◆比較POINT① 電気の安定性
◆比較POINT② 日常での活用
◆比較POINT③ エネルギーの調達性
◆比較POINT④ CO2排出などの環境性
◆比較POINT⑤ 導入時のコスト
◆まとめ
<比較する設備>
■非常用発電機
設置機器:9.9kw単相タイプ非常用発電機1台
出力:9.9kw
■太陽光発電+蓄電池
設置機器:蓄電池 16.2kWh×1台
太陽光発電20kwシステム"
出力:10kw
まず初めに比較するのは、電気の安定性について。
非常用発電機は停電時、商用電源(電力会社や電柱から来る電気)と同等の安定した電気の供給が可能です。LPガス非常用発電機を設置する場合は、3日分の燃料をバルク貯槽やガスボンベに貯蓄します。つまり、3日間は昼夜問わず安定した電気を確保することができるのです。
太陽光発電の場合は、蓄電池に貯めた電気を停電時に使用します。しかし、蓄電池の容量はフル充電でもフル出力でも、使用すると2時間程度しか持ちません。また、天気が良い日は太陽光で発電しながら電気を使用することもできますが、悪天候の際は思うように発電できないこともあります。
そのため、一時的な停電であれば太陽光発電で凌げますが、長時間の停電対策を考えるのであれば、非常用発電機の設置が安心です。
しかし、太陽光発電ならではのメリットもあります。それは、非常時だけでなく、通常時も活用できることです。
非常用発電機は、燃料のLPガスを厨房や空調に使用することはできますが、非常用発電機自体はあくまでも停電時の備えという位置づけであり、日常で稼働させることはありません。
ですが、太陽光発電の場合、非常時と日常を隔てることなく使用できるため、電気代の削減に役立ちます。
特に太陽光発電を導入するメリットとして挙げられるのが、電気の基本料金を抑えられること。
電気料金の内訳は基本料金+電力量料金となっています。この基本料金は「直近1年間で最も電気を使用した時間帯(30分間)の電気使用量」で決まるため、太陽光発電の電気を使用することで、この基本料金を抑えられる可能性があるのです。
太陽光発電は天気に左右されるが、非常用発電機は燃料であるLPガスを3日間貯蓄しているので安心であると前述しました。
しかし、3日以上、停電が続く場合はどうなるのでしょうか。
実際、2019年9月に日本列島を襲った台風15号は、千葉県の各地で1~2週間以上も長期間の停電をもたらしました。
そんな時、LPガスの場合、ガス配送業者がLPガスの充填に回ります。
LPガスは災害時の供給、配送体制も整えられており、実際、平成28年の熊本地震や平成30年の北陸地方の豪雪、日本各地で観測史上最大風速値を更新した台風21号が発生した際も、LPガスの供給は途絶えることがありませんでした。
つまり、LPガスは災害に強く、調達性の高い燃料であると言えます。
比較POINT④ CO2排出などの環境性
企業のスタンスとして考えておきたいのが、環境性についてです。
地球温暖化が進み、国際的に脱炭素社会へ大きくかじが切られました。日本でもCO2排出量を2030年までに26%削減の目標が掲げられています。そんな中、LPガスと太陽光発電では、どちらの方が環境に優しいのでしょうか。
LPガスは石油や天然ガス等の化石エネルギーの中で、相対的に二酸化炭素排出量が少ない燃料です。二酸化炭素排出原単位は原油を1.00とした場合、指数換算で0.86となり、ガソリンや灯油など他の石油製品と比べて10%以上少なく、天然ガスを含めた化石燃料の中でもトップクラスの環境性能を持っています。
一方で、太陽光発電は太陽光を電力にする過程では、ほとんど二酸化炭素が発生しません。今後も太陽光発電は、再生可能エネルギーとして主軸を担っていくと考えられます。LPガスも高い環境性能を持っていますが、さらなる環境性を追求する場合、太陽光エネルギーが相応しいです。
設置する設備を、非常用発電機は9.9kw単相タイプ非常用発電機1台、太陽光発電は太陽光発電10kwシステム、蓄電池 16.2kWh×1台とした場合、非常用発電機は約700万円前後、太陽光発電は約1800万円前後となります。
ただし、太陽光発電の場合は、先ほど触れたように電気料金を抑えることができ、10年間で400万円ほど削減できると考えられます。また、LPガス非常用発電機は停電対策として、太陽光発電の場合は環境対策として補助金を活用できる可能性があります。
このように、どちらにも異なるメリットがあるため、何を優先的に考えるかで設置すべき設備は変わってきます。
岩谷産業では、非常用発電機と太陽光発電のどちらも取り扱っていますので、是非、導入を検討の際にはご相談ください。
非常用発電機 |
蓄電池・太陽光 |
|
設置機器 |
・9.9kW単相タイプ非常用発電機1台 |
・蓄電池16.2kWh ×1台 |
出力 |
・9.9kW |
・10kW |
電気の安定性 |
・安定して発電可能 ・常に3日分の燃料を確保 |
・蓄電池の電気には限りあり (フル充電で出力MAX使用時、2時間) ・晴れの日でないと太陽光は発電されず、電気が足りなくなる恐れ。 |
普段の活用 |
・発電機は普段活用できない ※燃料であるLPガスは常用可能(厨房・給湯・空調等) |
・普段の活用可能(電気代の削減) |
エネルギーの調達性 |
・非常時にも最低3日間は持続するシステムが構築できる ・追加でガス配送会社が充填すれば継続して使用可能 |
・晴れの日でないと発電されない |
環境性 |
・LPガスはクリーンエネルギーではあるがCO₂は発生 |
・CO₂発生はなし |
コスト |
約800万円前後 |
約1,800万円前後 |
電気代削減効果 |
ー |
約△400万円(10年間)※100%自家消費の場合) |
補助金 |
停電対策で補助金がでる可能性有 |
環境対策で補助金が出る可能性有 |